QAチームの指標としてDDP(欠陥検出率)の観測をやめた話

私が所属していたQAチームでは、過去にDDP(Defect Detection Percentage:欠陥摘出率)を観測して欠陥検出力(テストによって欠陥を検出する力)をモニタリングしていました。しかしながら、ある時DDPの観測をやめてしまいました。 本記事では、DDPの観測をやめた経緯について私が想像した内容*1を記載したいと思います。

DDPについては、こちらの記事がわかりやすいのでご参照ください。 www.kzsuzuki.com

また、上記の記事や以下の記事のようにDDPを上手く活用しようとしている事例もあります。

www.nttdata.com

developers.freee.co.jp

そのため、私が所属していたQAチームでは単にDDPの活用方法を誤っていただけの可能性もあります。

上記を踏まえた上で本記事を読んでいただければと思います。

目次

  • 本記事の前提
  • 過去のDDPの利用方法
  • DDPをやめた理由
    • DDPの数値を見ても正確な欠陥検出力はわからない
    • DDPの数値に影響を与えるのは欠陥検出力以外のことが多い
    • 欠陥の埋め込み削減を目指すとDDPの数値が悪化する可能性がある
  • DDPの観測の代わりにやったこと
    • 本番障害の件数とビジネス上の影響度を観測
    • 本番障害について検出漏れの原因分析
  • 解決できていない課題
    • 欠陥検出力をリリース前にチェックできない
    • 本番障害がない場合に欠陥検出力がわかりづらい
    • 複数の開発チームで欠陥検出力を比較しにくい
  • まとめ

*1:私は当時の意思決定に関与していなかったため、本当の経緯はわかりません

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開発チームやQAエンジニアは品質意識だけではなくビジネス的視点も持つべき

最近「開発チームも品質意識を持つべき」「開発チームに品質文化の醸成が必要」といった発言が多くみられるようになりました。 品質は確かに重要ですが、品質向上はビジネスを成功させるための手段であり目的ではありません。 本記事では、私の事業会社での経験を基に、ビジネス的視点を考慮しないで高品質なプロダクトを目指すことの弊害を取り上げたいと思います。 事業会社で勤務している方、事業会社への転職を検討している方などの参考になれば幸いです。

目次

  • 話の前提
  • 顧客満足度向上に寄与しない品質にこだわったテスト
  • プロダクトや機能が仮説検証の段階でも高品質を目指したテスト
  • 会社の利益に寄与しない品質にこだわった仕様の提案
  • 開発の費用対効果を考えないで高品質な機能を目指す
  • リリース前の品質だけ確認する
  • まとめ
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「アジャイル開発にQAはホントに要らないのか?」私の意見

先日JaSSTソフトウェアテストシンポジウム-JaSST'21 Tokyoで「アジャイル開発にQAはホントに要らないのか?」という企画セッションが行われました。

本記事では、上記セッションに関連して、アジャイル開発における独立したQAチームの要否、または、開発チームにおけるQAエンジニアの要否について、私見を述べたいと思います。開発チームやQAチームの体制について考えている方に少しでも参考になれば幸いです。

(以下のぱと隊長さんの記事を参考にさせていただきました。ありがとうございます)

taityo-diary.hatenablog.jp

 

目次

  • 結論
  • 話の前提
    • 対象の会社
    • 独立したQAチーム、または、QAエンジニア
    • テストスキル
    • QAエンジニアが不要な開発チーム
    • ソフトウェアのテストに関する時代の変化
  • QAエンジニアがいない開発チームのメリット
  • QAエンジニアが不要な開発チームを作る難易度
  • まとめ
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